「アメリカ海兵隊」を読んでチームについて考えた

2023-09-14
読書

失敗の本質という本を読んだときに、太平洋戦争で活躍したアメリカ海兵隊に興味が湧きました。興味のポイントは、上陸作戦を遂行した海兵隊が「水陸両用作戦」を展開するための職能横断的な組織だったということ。

自分はウェブアプリケーション開発を生業としているけど、スクラム開発なんかをしていると職能横断的なメンバーが複数存在してくれていると、とりあえず動くもの作るまでが早くなるなので助かるわけです。ところが実際は、人材は職能によって集まり、職能によって自分の職務を全うするため、メンバー間でのタスクの受け渡しで待機時間が発生するなど、上手く行かないことも多いのです。

アメリカ海兵隊について学べば、上手に職能横断するチームづくりに役立つのではないか?と思ったのが読んだ動機。


中身を読んでみると、著者の野中先生も「失敗の本質」を読んで海兵隊に興味を持ったと書かれていたので大興奮でした。ただ、実際の海兵隊は、自分が思っていたのとは違っていて、組織の存続のために変革を受け入れていくという止むを得ない形での変化が大きかったようです。

書籍は1〜5章に渡ってアメリカ海兵隊の歴史や転換点について丁寧に解説された上で、6章の組織論的考察に入ります。

絶えず存亡の危機にさらされてきた海兵隊にとって、自己革新はいわば組織の生存本能の一部となってしまった

という記述あたりが、海兵隊の特徴をよく表していると思いました。

海兵隊のこの生存本能の遺伝子は、いわゆるブートキャンプと言われる厳しい初期訓練などを通して全隊員に刷り込まれていく上に、組織としてはリーディングリストや、会報を使った論文提出と議論などを行うことで、今も自己革新を続けていうことです。

このあたりは、ソフトウェア開発会社が新卒研修、オンボーディングなどを充実させて、メンバーのレベル感をなるべく早期に合わせようとしたり、社内勉強会などの組織内での議論活動も似ていると思いました。

というわけで、職能横断するチームを作るのも、維持するのも大変だなと思わせてくれる素晴らしい書籍でした。っていうか、興味をもっただけでなく、詳細に調べて書籍にまでしてくれている野中先生に大感謝の一冊です。

皆様におかれましては、間違っても厳しいブートキャンプを突然にメンバーに課すなどの奇行はされないようにと願いつつ、教養の一つとしてぜひお読みいただけたらと思います。